ホイールアライメントを測定するのに決して高価なテスタは必要でないと教則本【完結編】にも紹介しています。
身近な道具【糸】や【水準器】【錘】などでも正しいホイールアライメントは測定できます。但し、少々時間が掛かります。ホイールアライメントテスタの金額は測定準備時間と比例しているようです。
ここでの測定紹介は【キャンバ】【トー】のみで他項目の測定はできません。しかも測定車が【セットバック】【オフセット】の無い状態が条件となります。
セットバック、オフセットを十分理解できていないと、ここでの紹介の測定が意味不明となってしまいます。セットバック、オフセットの解説はこちらより。又、アライメントの基礎知識も当然必要となります。基礎知識の解説もこちらより。
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○ 測定環境 |
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水平環境が望ましい。
前後より左右の水平が求められます。
測定場所の水平のチェックはこちらより。
簡易チェックのため、完全水平は求めません。 |
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調整作業を楽に行えるよう、スロープ式の作業台があれば車高の低い車には大変助かります。
作業台が無くてもチェックはできます。 |
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○ 測定車の準備作業 |
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タイヤの空気圧を四輪一定にする。
ステアリングのセンターが作業中確認ができるようダッシュボードよりステアリングまでテープを貼る。
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あらかじめ、ジャッキアップなどをして調整をする個所のボルト、ナットを緩めておく。
【糸】をセットした後ではスペースが狭いため、硬いボルトやナットは緩まないためです。
右図はフロントタイロッドエンドでインテグラDC5はストラット上部に付いている。
一般の車はストラット下部の位置である。
この調整機能は当然のことですが【トー】調整のために付けられている。 |
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○ キャンバ測定 その1 |
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【糸】を張って【トー】を測定する前に【キャンバ】を測定します。
その訳は、キャンバを調整しますとトーが大きく変わります。
トーを調整してもキャンバの変化はごく僅かでしかありません。
よって、トーの変化が顕著に現れるキャンバより調整するのです。
左図は市販の水準器です。片方のホイールに密着させその角度を固定し反対側の角度と照らし合わせるのです。 |
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ホームセンター等で販売をしている水準器。360度、どの角度でも測定ができ、その角度を記憶、固定ができる。 |
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右側のキャンバ角に対し、左側のキャンバ角を測定している様子。
ここでの紹介はあくまでも簡易ですので左右差が無ければ良し、とします。実はその左右差【ゼロ】というのが一番大事なことであって、本格的ホイールアライメント調整作業でも【左右差ゼロ】を優先して作業を行うのです。
細かく何度、何分と知る必要があれば次の方法で測定します。 |
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○ キャンバ測定 その2 |
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測定をしようとするホイールの中心に糸を付けた錘を垂らします。
そのホイールの上部ディスク面と糸の距離をノギス等で計ります。
下部ディスク面と糸の距離をノギス等で計ります。 |
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ホイール上部の方が糸との距離が大きかったら、この車のキャンバは【ネガティブキャンバ】となり、その反対で下部の距離が大きければ【ポジティブキャンバ】となります。上下とも同じ距離であれば【ゼロキャンバ】です。
仮にその距離が5mmであってネガティブキャンバの角度を求めたい場合。
ホイールのサイズ |
17インチ |
外径 約 431.8mm |
タイヤのサイズ |
215/45 |
外径 約 625.3mm |
キャンバ角度 |
10進法 |
約 マイナス 0.66度 |
キャンバ角度 |
60進法 |
約 マイナス 0度40分 |
*上記計算式【Excel】をご希望ですとお問い合わせください。メール添付で送信します。
角度の計算をしてみましたが、前述のとおり【左右差】が無ければいいのです。
もし左右差があれば、この時点で調整をします。キャンバの設定はその車の使用目的で変わってきます。
一般車の場合、できるだけゼロキャンバが望ましいと思います。ホイールをインチアップした場合、新車諸元は全く意味をなしません。扁平タイヤになるほどキャンバは【ゼロ】方向へと変更しなければなりません。(ホイールアライメント教則本【完結編】より)
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○ トー測定 その1 |
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左図は【糸】を使ってのトー測定のあらましです。
ホイールに直接糸を張るとバンパーなどの障害物に当ってしまいます。
アルミ製のパイプなどをホイールにテープで固定し、糸が障害物に当らないようにします。
ホイール自身が外側へ大きくはみ出した格好になり、考え方としては
【ホイールオフセットを大きくマイナスにした】
【ダミーホイールを装着した】
と言う考えでいいと思います。
要するに、トーを測定する場合、ホイールの前後の距離を測定するので、左図の場合は前後、左右のパイプが糸に対しそれぞれが隙間無く密着しているので前後ともトーは【0mm】と言う事になります。
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しかし、上図では少し問題があります。 本当に前後ともトーは【0mm】なのか?
正確に説明をすれば、【セットバック】【オフセット】が無く、後端と前端の距離が等しくなければトーは【0mm】とは言えません。
画像のインテグラDC5のトレッド距離は前後が同じ距離です。よって、同じ太さのパイプを前後に使用していますが、前後トレッドが違う場合、その距離の差だけパイプの太さを変更する必要があります。
注 キャンバの変更によってもトレッド差が生じる。
これを調べる便利なサイトがあります。あなたの車のトレッド距離をこちらで調べてみてください。
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パイプ
糸 |
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○ トー測定 その2 |
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その1で補足説明をしたトレッド差です。
仮に左図のようにフロントトレッド1450mm、リヤトレッド1440mmの測定車があった場合、後ろが10mm狭いので、後の片側のホイールに付けるパイプを5mm太くする必要があります。
両方で10mm幅が広がってトレッド差(A=A')はゼロになり、左図右フロントのトーを測定する場合、ホイールと糸の距離が前後で同じなら右フロントートーは【0mm】となるのです。
左図はホイールアライメントの測定理論であり、この理論以外にはホイールアライメントの測定は不可能なことなのです。 |
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ホイールセンターと同じ高さのリジットラックを4本前後に配置。
前後のラックにアングル等を乗せる。
前後に糸を張る。
後端(A’)と前端(A)の同じ位置に糸を配置する。
この糸とホイールセンターの距離は4輪とも等しく配置しなければならない。
この条件が整うと【糸】は測定車の幾何学的中心線に対し左右が平行で尚且つ長方形である。
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この長方形のモノサシの中で各ホイールの角度がどのようになっているのかを測定するのが【糸】を使った【トー】測定です。
この測定理論を応用したのがPro-Autoアライメントテスタなのです。
糸 |
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測定バー |
パイプ |
⇒ |
測定ディスク |
錘 |
⇒ |
キャンバゲージ |
トレッド差 |
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各種シム |
ホイールアライメント測定、調整のご依頼はこちら(フレームショップオオニシ)で詳しくご案内しております。
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